【 伊坂幸太郎 】【伊坂幸太朗】■1971年、千葉県生まれ。 ■1995年、東北大学法学部卒業。大学在学時より宮城県仙台市在住。 ■1996年、「悪党たちが目にしみる」が第13回サントリーミステリー大賞佳作受賞。当時はソフトウェア会社にシステムエンジニアとして勤務。 ■2000年、『オーデュボンの祈り』(新潮社)が、第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞してデビュー。 ■最新刊は、2004年7月30日に発売された『グラスホッパー』(角川書店)。 ■□■オーデュボンの祈り ■□■ ■コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。 江戸以来外界から遮断されている"荻島"には、妙な人間ばかりが住んでいた。 嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。 次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。 未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?卓越したイメージ喚起力、洒脱な会話、気の利いた警句、抑えようのない才気がほとばしる! 第五回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した伝説のデビュー作、待望の文庫化。 ■ ■22-20sの感想■ ■構成力、文章力ともに、素晴らしいです。 早々に物語に引き込まれ、一気に読み進ませる力があるのはさすがの伊坂。 読後に爽快感・充実感があります。 私は特に荻島の世界観にずっぽりハマってしまいました。 なにせ島の住民がみんなチャーミングに描かれていて、 本当にこういう物語はいいなーと感じます。 案山子が喋る? 閉ざされた島?? かなり奇抜な設定なのに、読んでいくうちに、そんな‘些細な’事どうでもよくなっていく、この筆力。 あーほんと面白かった♪■ オーデュボンの祈り(オススメ度★★★★★) ■□■陽気なギャングが地球を回す■□■ ■成瀬(リーダー)は嘘を見抜く名人、さらに天才スリ&演説の達人、紅一点は精確な体内時計の持ち主――彼らは百発百中の銀行強盗(ギャング)だった……はずが、その日の仕事(ヤマ)に思わぬ誤算が。 逃走中に、同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯と遭遇。「売上」ごと車を横取りされたのだ。奪還に動くや、仲間の息子は虐め事件に巻き込まれ、死体は出現、札付きのワルまで登場して、トラブルは連鎖した! 最後に笑うのはどっちだ!? ハイテンポな知恵比べが不況気分を吹っ飛ばす、都会派ギャング・サスペンス!■ ■22-20sの感想■ ■著者の持ち味ともいえるのは、コメディー映画のような軽妙なストーリーの中に、自閉症の子どもや、中学生のいじめといった、活劇とはそぐわないように見えるテーマを、違和感なく滑りこませている点である。 社会から異端視されている者たちを、シニカルにではなく、爽やかに描いてきた著者は、本書においても「正しいことが人をいつも幸せにするとも限らない」と高らかに宣言する。 どこまでも明るいギャング団の奮闘の影には、そんな著者からの深遠なるメッセージが見え隠れしている。 もう成瀬がカッコよすぎ。 この人の本の登場人物はスタイリッシュでカッコよい。 楽しく読ませていただきました♪■ 陽気なギャングが地球を回す(オススメ度★★★★☆)(著者: 伊坂幸太郎 |:) ■□■ラッシュライフ■□■ ■泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。 父に自殺された青年は神に憧れる。 女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。 職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。 幕間には歩くバラバラ死体登場―。 並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。 不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。 巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。■ ■22-20sの感想■ ■伊坂幸太郎さんの面白さを知りたいなら、私はまずこの「ラッシュライフ」をお勧めします。 キャラクターの造形の面白さ。台詞回しの切れ味と面白さ。そしてなんといってもバラバラのストーリーがやがいひとつに結集されたとき。表紙の絵柄にまさに各人物の物語が収まったときの爽快感はもう格別。 あと、この作品には私の大好きな黒澤が出てきます。 彼がまたカッコよいんだよな。 うーん、この話、しゃれてるよなあ、うまいこと趣向を凝らしているなあと、 作者の機知と話のセンスに脱帽ですね。 こいつは愉快です、抜群にいかした本。 ■ ラッシュライフ(オススメ度★★★★☆)(著者: 伊坂幸太郎 |:) ■□■重力ピエロ■□■ ■連続放火事件の現場に残された謎のグラフィティアート。 無意味な言葉の羅列に見える落書きは、一体何を意味するのか? キーワードは、放火と落書きと遺伝子のルール。とある兄弟の物語。■ ■22-20sの感想■ ■まず、出だしにやられました。 すぐに引き込まれます。 そしてやっぱりこの方は心理描写が上手い作家さんだなと思いました。 キャラも魅力的で、ちょっとした行動の裏に見える人物像にすごく好感が持てます。 泉水と春がとにかくカッコイイ! 重い内容をあんなに軽快に痛快に描けるのはユーモアたっぷりの会話と読者を引き込む展開の巧さ。まさに伊坂ワールドという感じ。 本好きの方は是非!と、皆に薦めたい作品でした。 ■ 重力ピエロ(オススメ度★★★★)( 著者: 伊坂幸太郎 | 出版社: 新潮社 ) ■□■アヒルと鴨のコインロッカー ■□■ ■引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の美青年。 初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛けてきた。 彼の標的は―たった一冊の広辞苑。 僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。 しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ! 四散した断片が描き出す物語の全体像は?注目の気鋭による清冽なミステリ。 ■ ■22-20sの感想■ ■ズバリ本作のテーマは“熱い友情”だと思います。 ミステリー部分としてとっても読者を惹きつけた要素として本作の構成の巧さがあると思う。 “現在”と“二年前”を交互にまじえながら展開して行くのであるが、物語の序盤から私は釘付け状態でした(笑)“なぜ本屋を襲撃して広辞苑を盗まなければならなくなったのだろうか!”という(笑) どのように2つの話が収束するのだろうかと思いつつ読み進めて行くのであるが、違和感なく伊坂さんに“心地よく騙された”というのが率直な感想。 すべてわかったとき、【あー!】って思わず言ってしまった(笑) しかも電車の中で(笑)うーん、さすが伊坂さん。 「面白い」小説に出会いました。 現在と過去、スリル、そしてどんでん返し。途中で飽きさせたりしない!という作者の意気込みが感じられます。 切ないけれど、やはり「面白い」。■ アヒルと鴨のコインロッカー(オススメ度★★★★☆) ( 著者: 伊坂幸太郎 | 出版社: 東京創元社 ) ■□■チルドレン■□■ ■まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。 信じること、優しいこと、怒ること。 それが報いられた瞬間の輝き。ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。 吉川英治文学新人賞作家、会心の受賞第一作。 ■ ■22-20sの感想■ ■ほのぼのとした雰囲気がとてもよかった。 陣内を中心にして、鴨居、永瀬、優子、武藤、主な登場人物は、5篇に共通している。5篇の順序に時間的な前後はあるが、まだ二十歳前の無鉄砲な陣内が、無鉄砲さを成熟させて32歳の家裁調査官として活躍している様子を楽しむことができる話の流れは、読んでいて気持ちがいい。 私は特に、【陣内】が好き♪ いつでもどこでも自分の都合のいいように物事を解釈し、それを元に無茶苦茶な論理を振りかざし、「世界は自分を中心に回っている」と公言して(言ってないけど)憚らないような【陣内】には揺るぎない信念のようなものを感じました。自惚れもあそこまでいくと嫌味というより芸術に近いかも。(笑) 彼の発言もとても面白かった。 物語のある部分で、彼は【絶対】って言葉を使うシーンがある。 そこで、優子が【世の中に、【絶対】と断言できることは何一つないって、うちの大学教授がいってたけど】っと皮肉を言う。 そこでも陣内の返答が個人的に大好き。 【【絶対】と言い切れることがなにひとつもないなんて、生きている意味がないだろ】 この言葉が幼稚なんだけど、胸に響きました。 全篇を通して、くすっと笑えて、じわっと泣きそうになって、感情をゆさぶるけどしつこくなくて、ああこれが純文学って感じです♪ 5篇の中で特にオススメは【チルドレン2】ラストが最高に気持ちい。■ チルドレン(オススメ度★★★★☆)( 著者: 伊坂幸太郎 | 出版社: 講談社 ) ■□■ グラスホッパー■□■ ■「人は誰でも、死にたがっている」 「世界は絶望と悲惨に塗れている」 でも僕は戦おうと思うんだ。 君との記憶だけを武器にして― 待望の書き下ろし長編。 第132回 直木賞候補作。■ ■22-20sの感想■ ■会話のセンスはさすが、出てくる会話が他の場面でも効果的に出てきたり、 そこでにやりとさせられるのは相変わらずです。 それがだんだん、とぎすまされてきたかな、って気がします♪ 個人的には岩西のキャラが好きだった。憧れのシンガー(ジャッククリスピンって誰なんだ?(笑))の引用しまくり、 だけどなんかかっこよかったような。蝉も、槿も、好き。 話にスピードがあって、どんどん引き込まれていくという意味では、面白い作品でした♪ でも、ラストが不気味。 【それにしてもこの列車、長くないか】 うーん、シュール。 ■ グラスホッパー(オススメ度★★★) ( 著者: 伊坂幸太郎 | 出版社: 角川書店 ) ■□■ 死神の精度 ■□■ ■「俺が仕事をするといつも降るんだ」 ある時は恋愛小説風に、ある時はロード・ノベル風に、ある時は本格推理風に・・・様々なスタイルで語られる、音楽を愛する、クールでちょっとズレてる死神が出会った6つの物語。■ ■22-20sの感想■ ■傑作!面白かったー(^^♪ 伊坂さんの作品はいつも世界観が良いですね。大好きです。 まさに伊坂ワールド。 私は伊坂さんの作品は、全て読んでいますが、 本作が最も作品性とエンタメ性のバランスが良い作りになっていると思う。 こりゃ獲るな。直木賞。 主人公の死神は、一週間後に死ぬことがほぼ決まっている人間と会って、 その人の死を「可」とするか「見送り」とするかを調査します。 彼が調査する人物は、どこかしら何時死んでもいいと思っている人間たちなのですが、もっと生かせてあげたいと思わせるようなきらめきが、彼らの中にはあります。 だが、死神は情に流されません。クールに決断する。(唯一彼が心動かされるのは『ミュージック!』(笑)) 特に、私は「恋愛で死神」という話が好きです。 人生の不条理さをこれでもかという程感じさせられて、 胸の中が苦い思いで一杯になりました。 だけど、本書を最後まで読むと、救われたような気持ちになります。 決して奇跡が起きるわけではないのに。 むしろ、望むと望まざるに拘らず人は皆死ぬ、という厳然たる事実を突きつけられる。 その事実に、不思議にも勇気づけられるのかもしれません。 あと「死神対老女」は秀逸。 また伊坂さんにやられました。 そうくるかいって感じで(^^♪ さらに『旅路に死神』でもやってくれましたね。 こちらもクールな『重力ピエロ』のアノ人が!? こういう遊び心も伊坂さんの魅力の一つですね♪ 最後に入れ知恵ですが、 「メメントモリ」という言葉があります。 ラテン語で「死を想え」という意味。 いつか自分は死ぬのだから、とネガティブに捉えるのではなく、だからこそ今という時を大切にし、その時その時を精一杯生きよう、と解釈される言葉です。 本書をとおして著者が伝えたかったのは、これに尽きるのではないかなと思いました。■ 死神の精度(オススメ度★★★★★) ■□■ 魔王 ■□■ ■「小説の力」を証明する興奮と感動の新文学。 不思議な力を身につけた男が大衆を扇動する政治家と対決する「魔王」と、静謐な感動をよぶ「呼吸」。別々の作品ながら対をなし、新しい文学世界を創造した傑作!■ ■22-20sの感想■ ■「魔王」 今までの伊坂さんの作品とは一味違った内容でどちらかと言えば純文学風。 時代は今より数年後あとの日本。 主人公は20代のサラリーマンでふとしたことから自分が念じた言葉を相手に喋らせる事が出来るという、「腹話術」の能力に気が付く。 少し思索的過ぎる主人公であるが、伊坂氏のメスは鋭い。 得意の軽妙洒脱な会話の数々だけでなく、 現代の政治のあり方、 とりわけアメリカに対する外交政策に対する揶揄した表現が心地よいが。。。 今までの伊坂作品ほど読後感が良くないかもしれない。 しかし、しかし、この作品は素晴らしい。 この異様なまでの緊迫感と息苦しさは今までの伊坂作品には見られなかったもの。 後半からラストにかけては、読んでいる方も倒れてしまいそうだった。 問題作と言われるのも頷ける。 今までの作品にも時折垣間見られていた伊坂の黒い部分が全開になったよう。 例によって小道具の使い方が実に巧く、 宮沢賢治の詩が輝いているようだった。 是非声に出して読むべし。 さて、伊坂氏の特徴である他作品とのリンクですが、今回は多いです。 「チルドレン」で登場した居酒屋チェーン店の「天天」が登場します。 あと、リンクとは呼べませんが、「グラスホッパー」という名詞も。 また、物語が終盤に差し掛かった頃、「あの」雨男が登場します。 これはなかなか面白い演出。 テーマ自体は結構重く、思考することから安易に逃避しがちな現代人に著者からの現実的なストーリーとしての警告なのではないかと思いました。 最後に。。。 考えろ考えろ。 生きることは考察することだ。 「俺」は想像世界で絶えず考察し、闘う。■ ■続いて、『呼吸』 『呼吸』は『魔王』から5年後の話。 『魔王』で主人公以上に魅力的に描かれていた潤也、 「消灯ですよ」の詩織が主役になっている。 2人は結婚しており、独裁者候補だった犬養はといえば、 いつのまにやら首相にまで昇りつめて憲法改正へ向けた準備を進めている。 国民投票を間近に控えた頃から投票日までのことを、詩織の視点で書いてある。 主人公の飄々とした感じなど、より伊坂幸太郎らしい節回しが楽しめました。 当初は改憲に対して傍観を決め込んでいた主人公が、 手に入れた「運」の力(じゃんけんに負けない(笑))を使用して、実に粘り強く大どんでん返しを狙う様は、 随分と気の長い話だな(笑) と思うもその着実な歩みに安心にも似た期待を抱いてしまう。 自分が平和で安全で穏やかな世界にいられればいいと思っていた潤也が、 そうじゃない、と思う部分を自然に描き、 お金の力で世界を変えようとする主人公をさらりと肯定するあたりの発想が面白い。 なんだか続きがとっても気になる話です。■ うん、この二作は良い。 すすめる。 魔王/オススメ度(★★★★) ■□■ 砂漠 / 伊坂幸太郎 ■□■ ■麻雀、合コン、バイトetc……普通のキャンパスライフを送りながら、「その気になれば俺たちだって、何かできるんじゃないか」と考え、もがく5人の学生たち。社会という「砂漠」に巣立つ前の「オアシス」で、あっという間に過ぎゆく日々を送る若者群像を活写。 日本全国の伊坂ファン待望、1年半ぶりの書き下ろし長編青春小説!■ ■22-20sの感想■ ■面白い! 直球ど真ん中の青春小説。 先日の新聞広告に、直筆で「大学生と超能力と大統領の話です。」 とありましたが、その通り。 仙台にある国立大学を舞台に、北村、西嶋、東堂、南、鳥井というキャラのたった5人の学生たちが過ごす、ちょっと普通じゃないキャンパスストーリー。 それぞれのキャラクターがいい味だしてます。 ほんまに伊坂のキャラクターつくりは巧い。。。 特にお気に入りは西島! 最高です♪ 俺、大好きなんだよなー、西嶋みたいなやつ(笑) いいよな。まっすぐでさー。。。 そして、自分の友人でもいるんですよ。 こういうやつ(笑) ホントに愉快な気持ちにさせてくれます。彼も西島も。 幹事役の莞爾もまるでYK(友達)だし。 東堂みたいな女友達もいる(笑) 同年代の話だからか、まるで五人と一緒にキャンパスライフをすごしているようでした。。。なんで、読み終えた後は、その切なさに、ただただ感動してむせび泣く… なんてことは、まるでない。(笑) 伊坂作品の今までの流れも継いだ上での、爽快な青春小説だと思います。 個人的には、最近の伊坂作品にはツボを突かれまくりなんです。 先だっての「魔王」では“宮沢賢治”が。 今回は“サン・テグジュペリ”と“三島由紀夫の自決”が素材として出てくるんですよ? なんて贅沢なんでしょう! そして、まっとうに料理してくれているのも読みどころ。 いい小説だった。 ほんまにいい小説だった。■ 砂漠 ■□■ 終末のフール / 伊坂幸太郎 ■□■ ■あと3年で世界が終わるなら、何をしますか。 ;2xxx年。「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されて5年後。 犯罪がはびこり、秩序は崩壊した混乱の中、仙台市北部の団地に住む人々は、いかにそれぞれの人生を送るのか? 傑作連作短編集。■ ■22-20sの感想■ ■なんだかんだで読みました。 本は自分は通勤中にしか読まないんですが、いやーなにせレッチリが聴きたくて聴きたくてウズウズしちゃって、ここニ、三日、の通勤はレッチリオンリーでした(笑) そんな中読んだこの本。 でも面白かったなあ(笑) レッチリVS伊坂だと、どうしてもレッチリなんですが、せっかく買ったし、伊坂だし、って自分を奮い立たせ、一日かけて一気に読みました。 相変わらず、面白いよ、伊坂の本は。 一定のレヴェルは超えた作品を書いてくれる数少ない作家の1人ですね。 でも初期の作品のがぐっときます。 個人的には。 この話は、世界がもうすぐ終わってしまう状況の中での、一部の人々の生きてく様をなんのアクションもなくただ淡々と描いていきます。 殺人、放火、強盗が横行して、人間の本性があらわになったになって、まさに阿鼻叫喚の世界! ってやつを描くのではなく、その後の、暴動が済んだ一時的な小康状態の中の市民の姿を描いています。 それがいい。変にリアルでいい。 淡々とした人々の残りの生活を描いてるせいか、読んだ後は(あなたならどうやって生きますか?)っと問いただされているような感じをうけました。 世界がもうすぐ終わってしまうのなら、俺はどうするだろう? 悲観して自殺してしまうのか、自棄を起こして欲望のままに行動してしまうのか。 こんなバカバカしいことを考えさせてくれるなんて、やるなあ伊坂。 相変わらず視点がいいよな。 そう考えると、自分のほんとにやりたいことが見えてくるのかもしれない。 就活中の人にオススメかも。 伊坂の本の根本的なテーマは生きるってことだなあっとことごとく思う。 最後に、この作品の誰かが言ってたけど、 (こんなご時世、常識や正しいとかなんかよりも、どれだけ愉快に生きられるかだ) そのとうり! 俺はどうなってもそう生きていたいよ。■ 終末のフール ■□■ 陽気なギャングの日常と襲撃 / 伊坂幸太郎 ■□■ ■ 『陽気なギャングが地球を回す』待望の新作!ウソ発見器+体内時計+スリ+演説=……… 史上最強の天才強盗4人組が帰って来た!;刃物男、「幻の女」、謎の招待券、殴打事件、そして銀行襲撃の裏には……… ;人間嘘発見器成瀬(なるせ)が遭遇した刃物男騒動、演説の達人響野(きょうの)は「幻の女」を探し、正確無比な"体内時計"の持ち主雪子(ゆきこ)は謎の招待券(チケット)の真意を追う。 そして天才スリの久遠(くおん)は殴打される中年男に――史上最強の天才強盗(ギャング)4人組が巻き込まれたバラバラな事件(トラブル)。 だが、華麗なる銀行襲撃の裏に突如浮上した「社長令嬢誘拐事件」と奇妙な連鎖を始め…。 絶品のプロット、会話、伏線が織りなす軽快サスペンス! 伊坂ブームの起爆剤にして、映画化で話題の「陽気なギャング」ここに待望の復活! ■ ■22-20sの感想■ ■明日、映画を見に行く予定です。 キャスティングもなかなかいいじゃなのって。 この作品は完全に前作に負けてますね(笑) でも前作がやばい面白かったから、、、あれを超えさせるのは至難のワザっすわ。 なんで今作が決してつまらなかったわけじゃないです。 全然面白いです(駄目な日本語(笑)) 相変わらず、登場する四人組は最高だし、彼らのかけあいはものすんごく魅了的。 久遠と響野がいい感じ★ 話も。。。う-ん、ストーリーがいまいちなんですかね(笑) だからそんなに満足できないのかと。 あと悪役が弱い。 最初にドラックストアの娘を誘拐した駄目な悪人はあれはあれで愉快だったけど、本命の悪人が弱すぎ。 もっと強烈な(オーデュボンの祈り)の城山のようなゾクゾクすような悪人をだしてほしかったっす。 今作はなんだかんだで成瀬ですね。 成瀬の印象が強い。 成瀬が完璧すぎ。 なんで、次回があるとしたら、成瀬が窮地に追い込まれるような話が読みたいかなな。 まあ何はともあれ、映画楽しみです♪■ 陽気なギャングの日常と襲撃 |